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■目次
1.大規模開発ラッシュの光と影
2.大規模開発への期待と限界
3.求められる総合的な都市マネジメント技術の開発
■introduction
東京都心部では、昨年9月にオープンした丸の内ビルディングに始まり、泉ガーデンタワー、電通本社ビル、汐留シティセンター、品川グランドコモンズ、六本木ヒルズなど、超高層オフィスビルが次々に竣工している。はやくも東京観光の新名所となった感のある丸の内ビルディングや六本木ヒルズを筆頭に、デザイン的にも優れた最新鋭のオフィスビルと魅力的なレストランやショップ、文化施設などとの複合開発が目立つこともあり、不動産事業という硬いテーマには珍しく、テレビや雑誌などマスメディアで取り上げられる機会も多い。
このような華やかな開業イベントや店舗、街並み紹介の一方で、大型ビルの新規供給集中で賃貸オフィス市場が悪化する「2003年問題」もマスコミに格好の話題を提供している。今年のビル開業ラッシュが、景気低迷で縮小するオフィス需要の奪い合いに拍車をかけるというわけである。また、規制緩和で大規模開発を促進しようという都市再生政策もあり、2004年以降もオフィスビル供給は止りそうもなく、多くのビル事業経営者にとって厳しい時代が続くと予想される。
一方、不動産を持たない利用者側からみれば、このビル開発競争は「問題」どころか歓迎すべき千載一遇のチャンスである。テナント企業は、都内各所に分散しているオフィスを一等地の最新鋭ビルに統合して業務効率を向上させたり、社員のモラールアップを図ることができる。また、最新鋭ビルにテナントを奪われた既存ビルは、リニューアルや賃料引下げで新しいテナント誘致に必死となるため、他のテナント企業は以前より有利な条件でオフィスを借り替えることができる。
生活者や観光客にとっては、業務機能中心で近寄りがたかった東京のオフィス街が、華やかで高度な消費やレジャーの場として開放されたといえる。何よりも、現在の東京の不動産ストックが抱える震災リスクの大きさ、非効率な土地利用や環境問題、弱者や景観への配慮不足などを考えれば、大規模開発により都市の機能更新が進むことの社会的意義は非常に大きい。
ただし、このような大規模開発プロジェクトに、日本経済再生の切り札として過大な期待をかけるべきではない。
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松村 徹
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