2000年08月01日

アリとキリギリス

経済研究部 専務理事   櫨(はじ) 浩一

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蟻(あり)とキリギリスの話を知らない人はいないだろう。蟻はせっせと働いて冬の準備をしていたが、キリギリスは歌を歌って遊んでばかりいたので冬になって餓死してしまったという話だ。もっとも、ビートたけし(北野武)のギャグでは、蟻は過労で死んでしまい、キリギリスはアリの蓄えで幸せに暮しましたとさ、ということになるようだが…。
企業が生産を拡大しようとすれば、新しい工場や設備が必要だ。生産したものを人々が消費に使ってしまわないで、より多くを貯蓄して設備の増加に回せばより高い経済成長が可能になる。
日本の家計貯蓄率は世界でも高く、第二次大戦後は豊富な貯蓄を国内の投資に回して高い経済成長を実現してきた。しかし、第一次石油危機を契機に経済成長率が低下すると国内の投資が減少し、豊富な貯蓄は対外黒字となってむしろ世界から批判される元になった。過剰になった貯蓄を低金利と規制緩和で国内の投資に有効に使えれば、再び高成長が可能になる。これが1980年代後半のバブル期を支えた経済政策の基本的なアイデアだったのではないだろうか。
しかしこれがうまくいくのは、大量の投資で作った設備で生産したものを誰かが買ってくれればという前提での話だ。バブル期には設備投資の需要のために設備が必要となるという高度成長期並みの加速度原理が働いて、十分需要があるように見えた。最後には生産設備はたくさんできたが、これで作ったものを買う人がいなくて消費が不足するという問題がおきてしまった。これが過剰設備問題の正体である。

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経済研究部   専務理事

櫨(はじ) 浩一 (はじ こういち)

研究・専門分野
マクロ経済・経済政策

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