1997年11月25日

米国の持株相互会社

村上 博信

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■目次

1.はじめに
2.生保の経営危機と自己資本の充実
3.持株相互会社とは?
4. 持株相互会社の功罪
5. 持株相互会社をめぐる最近の動向
6. おわりに

■introduction

日本版ビッグバン(金融大改革)に向けた動きがはじまった。97年5月の外国為替管理法の改正を皮切りに、97年6月には、戦後一貫して禁止されてきた持株会社の解禁などを内容とする独占禁止法の一部改正が行われた。これにより、企業は純粋持株会社を設立し、その傘下に関係会社群を配置、統括するという組織形態を選択できることになった。純粋持株会社とは事業経営の全てを子会社に委ね、自らは事業を行わずに、グループ全体の経営に専念するものである。持株会社は傘下に子会社群を並列に配置でき、M&Aを通じた事業再編もやりやすくなるなどのメリットがあると言われている。そして、金融分野においてもいわゆる金融持株会社の傘下に銀行、証券、保険を保有することが認められる見通しとなった。ところが、保険会社に特有の相互会社の場合には、株主は存在せず、保険契約者が株主に相当する社員になるという組織構成をとっているため、相互会社の川上には持株会社を設立することはできないとされる。相互会社が持株会社を利用するには、川下に持株会社を作るか、あるいは自らを株式会社に組織変更してその川上に持株会社を設立するしかない。しかも、川下に置かれた持株会社では事業展開に限界があり、また株式会社化もその実施は容易なことではない。つまり相互会社は、その組織形態ゆえに株式会社のような経営上の選択肢が持てないということになる。他方、米国に目を転じてみると、最近、持株相互会社という相互会社の特色を活かした持株会社の設立が認められるようになった。持株相互会社設立の動きも活発化しており、これからの生保事業を考える際のキーワードのひとつとなりつつある。そこで持株相互会社とはどういうものなのか、なぜそうした新しい会社形態が必要となったのか、などについて米国の最新事情を紹介したい。

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