1997年09月01日

「最低積立基準」導入の意義

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97年度決算から財政検証に導入される「最低積立基準」は、一般には、あまり注目されていないかもしれない。しかし、受給権の概念があいまいで、保護施策も不十分な、わが国の現状からみると、今後の企業年金の財政運営に画期的な、意義深い考え方である。
当基準は、基金解散時に、加入者や受給者の過去の加入期間に応じて、受給権を保護する目的で導入されたもので、年金資産(時価)がこの基準を下回ると(5年間の経過措置で、基準が緩和されているが)、翌々年度から7年以内に掛け金の引上げ等により、回復する計画の策定が義務付けられている。
従業員の立場では、退職金の要支給額が受給期待権そのものであろう。それに比べると十分ではないが、厚生年金基金で、初めて、基金解散時でも保護すべき受給権の最低水準が定義されたのである。これから検討が始まる企業年金法における受給権論議にも、大きな影響を及ぼすものと思われる。

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【「最低積立基準」導入の意義】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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