1997年01月01日

ホーム・コンピューティングとライフスタイル-日米情報ネットワーク調査から-

  栗林 敦子

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<要旨>

仕事でE-mailを使用している、日米の都市部居住者を対象に情報化に関する調査を行ったところ、家庭でパソコンを使用している割合は、日本63%、米国87%と、一般の普及率を大きく上回った。この中で、所有し使用しているパソコンの平均台数は、日本1.34台、米国1.58台となっており、先進ユーザーの家庭を中心に、パソコンはもはや一家に複数台へと動き始めている様子がうかがえる。

パソコン通信やインターネットなどの外部のネットワークへの接続の有無を誠べると、調査対象者全体に対し日本は49%、米国は73%、家庭でのパソコン使用者に対し日本78%、米国84%となっている。接続使用しているパソコンの台数は、日米とも「1台」が約7割を占めているが、「2台以上」の割合は、米国は日本の約2倍となっている。

家庭でのパソコンの使用率が相対的に高いのは、日米とも男性、高学歴、高所得層であるが、年代別には日本は30歳代以上が高いのに対し米国では20歳代が高いという違いがある。また、日本の女性は、日本の男性より19ポイント、米国の女性より33ポイントも使用率が低いことが特徴である。外部ネットワークへの接続に関しでも、ほぼ同様の傾向がある。

家庭内でのパソコンの使用による日常生活の変化は、テレビ視聴時間、睡眠時間、読書時間、家族との会話の時間、電話の回数、買い物頻度の減少などがあるが、これらは、パソコンが外部ネットワークに接続されているかどうかで異なる。調査の中で「減少した」との回答が最も多かったのはテレビ視聴時間であるが、外部ネットワークに接続されている場合、日本では40%、米国では52%、接続されていない場合(スタンドアローン)の場合はそれぞれ29%、44%となった。テレビ以外では、睡眠時間、読書時間の減少などが日米でみられるが、米国ではこれらに電話の回数の減少が加わる。米国では、この調査の対象者のような層を中心として、テレビからインターネットなどへ、電話からE-mailなどのメディアの部分的なシフトが起きつつあるといえるだろう。

家庭内でのパソコンの設置場所は、日米とも書斎や居間が中心となっているが、住宅事情の違いを反映してか、米国は書斎のウェイトが高い。この設置場所別に上記の生活行動の増減をみると、米国の場合は、書斎と居間とで「減少した」との回答率に大きな差はないが、日本の場合は、テレビ視聴時間と睡眠時間に違いがみられ、パソコンが居間よりも書斎に設置されている方が、「減少した」との回答が多くなっている。書斎にこもり、テレビの時間を削り、睡眠時間も減らして、日本人は一体何をしているのだろうか。また、パソコンの台数の増加とともに、寝室や子供部屋への設置が始まる。テレビと同様、パソコンも個電化が始まっている。

パソコンを使用するようになってからの、生活の質的な変化をみるため、情報に関連した様々な生活要素をあげてその変化の有無を聞いてみると、日米とも「仕事上でのコンピュータ利用が楽になった」「合理的な判断が可能になった」「必要な情報が容易に得られるようになった」「いろいろな知識が豊富になった」「ネットワーク上で自分の意見を人に伝えるようになった」が上位となっている。これらの要素は日米で共通しているが、どの要素の支持率も、米国の方が10ポイント以上上回っている。また、「個人情報の漏洩やプライパシーの侵害を感じるようになった」のような情報化によるネガティブな生活の変化を実感する割合も米国は日本を上回っており、パソコンやネットワークの利用の拡大・進化と同時に、情報化の様々な側面を理解しているといえよう。

情報技術を活用した各種サービスに対しては、日米とも、各種情報検索、ニュース配信、イベント・旅行などの在宅予約といったもので利用意向が強いが、電子ショッピング、在宅医療、外出先からの電灯・室温制御(HA)、双方向ゲームを除き、どれも米国の方が利用意向が強い。電子ショッピングについては、米国の家庭でのネットワーク接続利用者よりも、日本の家庭でのパソコン非利用者の方が利用意向の割合が高いなど、幅広い層が電子ショッピングに期待を寄せる日本と、すでにネットワークを利用した経験から、現在の段階では電子ショッピングに限界があることを知っている米国といった構図が見える。

さらに、買い物、健康・医療、趣味・レジャー、教育、生活上の知識、行政、交通情報、社会問題などの分野について、情報源としてのPC通信やインターネットの位置づけをみると、これらを「重視している」との回答は、日本ではすべての分野について5%以下であるのに対し、米国では「生活上の知識」が25%、「教育・学習」が14%などとなっている。これらの領域を出発点として、今後の利用領域の拡大が見込まれる。

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