1992年12月01日

先進国入りを目指したシンガポールの新経済計画

  宮澤 貢

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■見出し

1.はじめに
2.1985年のリセッション及び第3次経済計画
3.現在シンガポールが直面している構造的問題
4.シンガポールの新経済計画
5.最近の動き
6.結びにかえて

■はじめに

シンガポールは1965年にマレーシアから独立して以来、限られた国土(東京23区程度)、少ない人口、天然資源の欠之というハンディにもかかわらず、地の利を活かした中継貿易の拡大、外資の積極的導入等により驚異的な経済成長を遂げた。この間1985年に建国以来初めて本格的なリセッションに直面したが、斬新な経済計画でこれを乗り切った。今や国民1人当たりGDPは1万4501米ドル('91年)とNIES(アジア新興工業諸国)の中でトップに位置している。正に自他共に認める東洋の奇跡の国である。

しかしながら、これまで順風満帆だったそのシンガポールが現在大きな岐路に立たされている。

1988年に実質11.1%もの高度経済成長を実現した後、自国の構造的問題、外部環境の大きな変化等により、成長率は鈍化の一途を辿っているのである。1992年第2四半期の経済成長率はピーク時より半減、僅か4.7%%まで急低下している。また、マレーシア、タイなどアセアン近隣諸国の追い上げも激しさを増してきでいる。

シンガポール政府は、このような状況を1985年以来の厳しい局面として認識し、何とか活路を見出し、長期的発展を確実なものとするために、新しい政策を1991年12月に打ち出した。商工省が中心となり策定したシンガポールの長期的経済発展の実現、21世紀初頭での先進国入りを目指した『新経済計画』(The Strategic Economic Plan)がそれである。この『新経済計画』では、今後シンガポールが進むべき道を示しており、極めて示唆に富むものである。

当レポートでは、現在シンガポールが抱えている構造的問題を明らかにすると共に、『新経済計画』の内容を概観することにより、シンガポールが長期的にどのような方向を目指そうとしているのかを考察することとしたい。

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