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- 課題多い地方テーマパーク
1992年07月01日
<要旨>
- 88年頃から始まったテーマパーク建設ブームで、わが国では主なものだけでも40ヶ所以上のテーマパークが開業している。この結果、テーマパークは東京ディズニーランドの開業後10年たらずの間に年間集客数が5千万人を超える一大レジャー産業に成長した。
- ただ、建設ブームは89年~90年がピークであり、91年以降の開業ベースは大幅にダウンしている。90年秋時点で92年内の開業を予定していた約40施設のうち、実際に開業したものは10施設程度である。この間に、景気後退による事業環境の急変や、計画そのものの問題等で約15の計画が中断または中止となっている。
- 現在開業中の施設のうち約8割が地方都市周辺の立地であるが、ここ2~3年で相次いで開業した地方のテーマパークは、景気後退の影響もあって年間入場者が目標を割り込んでいるところが多い。このため、収支採算面でも厳しいスター卜となっている。
- 特に地方でテーマパーク建設が活発化した背景として、以下の様な点が考えられる。
(1)地域産業、経済の活性化手段として地元自治体や企業が注目した
(2)事業採算や施設面でも、地価水準の低さ、競合施設の少なさ等が注目された
(3)全国的なリゾートブーム、不動産ブームなど起業ムードが高まっていた - 一方で、地方のテーマパークはその市場特性から以下のような課題をかかえている。
(1)集客面~1)近隣人口の絶対的不足、2)平日と休日の入場者数格差、3)顧客層の薄さ
(2)施設運営面~1)ピーク時に対応したハードとソフ卜が必要、2)人手不足
(3)事業収支面~膨大な投資の割に客単価が低い
(4)交通アクセス~公共交通機関、道路の未整備
(5)環境破壊、自然破壊問題 - そこで地方のテーマパーク建設にあたっては、立地、テーマ選定、施設規模、施設内容、集客対策、地元との協力関係、物販などの面において綿密な計画と配慮が求められる。とりわけ、地元自治体の果たす役割は大きく、テーマパークを単独の施設としてみるのではなく、総合的な地域活性化施設として発展させるための基盤整備が必要であり、そうした姿勢なしでは時間経過とともに施設の陳腐化が避けられないであろう。
- テーマパークブームは一息ついているが、現段階で94年までの開業を目指して建設中の施設が約10施設あり、これらのものが開業すると、わが国のテーマパークは50施設を超え、年間集客数も7千万人以上の規模になる。わが屈が本格的なレジャー時代を迎えつつあるなかで、テーマパークが重要な役割を担うことには疑いの余地はないが、8割を占める地方施設が全て成功するとは考えにくい。今後はその地域の市場特性にあったテーマや規模のものが生き残ることになろう。
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窪谷 治
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