1992年01月01日

ファイナンシャル市場におけるマーケットコンセンサス

勞 小君

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■見出し

1.マーケットコンセンサスの重要性
2.経済動向で変わる市場の経済指標への注目度
3.マーケットコンセンサスの精度
4.景気判断間違った市場
5.マーケットコンセンサスの予想誤差の影響

■マーケットコンセンサスの重要性

私の机の横にはロイターのターミナルがある。そのターミナルからは秒単位で世界経済、政治のニュースが流されると同時に株価、為替レート、債券価格や利回り等の変化が表示される。もちろん、証券市場におけるトレーダー達の売買によりこれらの債券価格、為替レート、株価等が動くのだが、トレーダー達の証券の売買への意思決定に影響を与えるものはなんだろうか?過去2年間ファイナンシャルマーケットを見てきた経験から、通常ファイナンシャルマーケットは日々発表される経済指標に影響をうける。正確に言えば市場のつくりだすマーケットコンセンサスと発表される経済統計がかなり異なる時に市場が動くといったほうがよいだろう。何故ならば市場参加者は発表される経済統計の予想をすでに彼等の売買に折り込んでいる。それ故、発表された数字が市場の予想と異なっていなければ、市場はいわゆる“折り込み済み”として動かない。しかし例えば、雇用や小売販売の統計がマーケットコンセンサスよりもかなり低く発表されれば、市場参加者は景気が予想以上に悪いと判断するだろう。その結果、市場は金融緩和を期待するようになり短気金利の低下を予想するだろうし、またその結果ドルが弱くなると見るトレーダーもいるだろう。あるいは、インフレーションの主要統計である消費者物価のマーケットコンセンサスからの乖離はインフレ期待を変化させ長期金利に影響を及ぼす。この様に、ファイナンシャルマーケットの動きを予想するには、日々発表される経済統計に対するマーケットコンセンサスの理解が不可欠である。

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