1991年12月01日

民間都市開発事業における社会的効果について

  椎名 政男
  村岡 学
社会研究部 研究理事   吉本 光宏
  飯島 正人

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<要旨>

  1. わが国が今後「生活大国」になっていくためには、さまざまなインフラの整備・充実が必要となってくるが、とりわけ都市の整備については、公共サイドだけではなく民間サイドにおいても、優良な開発投資をこれまで以上に行っていくことが期待されている。そして、この期待に応えていくには、民間都市開発事業者はこれまでの開発による直接的な収益確保といった観点からだけでなく、さまざまな「社会的効果」などにも配慮した開発を進めていくことが重要となる。
  2. 民間の都市開発事業は、事業者への効果として賃料収入や分譲収益などの「(1)直接的収益」の他に、開発にともなうノウハウの蓄積やPR効果などの「(2)間接的収益・効果」をもたらし、さらに地域社会や住民にとっては経済波及効果や生活利便性の向上など、広く「(3)社会的効果」を生み出す。しかも、これらの諸効果はプロジェク卜完了後も継続的に発生、拡大していく。
  3. このうち、「(3)社会的効果」は地域経済の活性化や雇用機会の創出などの「産業・経済面での効果」と生活利便性や居住性の向上、文化・レジャー施設の充実など、「生活・文化面での効果」に分けられる。
  4. 貨弊価値として明確に把握できる「(1)直接的収益」となり、「(3)社会的効果」の大きさを正確に測定するのは難しいが、「産業・経済面での効果」については、公共事業の分野において一般的である産業連関分析の手法が応用できる。また、「生活・文化面での効果」については、評価項目の設定・ウエイ卜づけと開発プロジェク卜の影響度判断に基づいた「生活・文化効果指数」といったものを導き出すことによって、おおよその効果の大きさを把握することができる。
  5. 民間都市開発事業にとって、その収益を確保しつつ、社会的効果を視野に入れた開発を行うためには、計画プロセスにおける総合的な効果測定手法の確立、プロジェク卜の性格に応じた重点効果項目の設定など検討すべき課題も残されている。しかしながら、今後の豊かな都市づくりにおける民間企業の役割はますます憎大すると考えられ、民間都市開発事業においても「社会的効果」を重視した取り組みが求められよう。

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