1991年07月01日

経済の動き

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<米国経済>

住宅、生産、雇用関連の指標が改善を示し始め、景気の底入れ期待が強まりつつある。

5月の雇用統計では、失業率は前月比0.3%上昇し、6.9%となったものの、非農業部門雇用者数は前月比5.9万人増と'90年6月以来、11ヵ月ぶりの増加となった。失業率が上昇したにもかかわらず、雇用者数が増加したのは、統計の特殊要因のためとみられる。失業率が家計調査に基づいているのに対し、非農業部門雇用者数は企業調査に基づいている。一般的には非農業部門雇用者数が重視されており、雇用も改善の兆しとの見方が強まった。

生産関係の指標をみると、4月の鉱工業生産は前月比0.1%増と7ヵ月ぶりに増加に転じた。但し、稼働率は78.3%と前月比で▲0.2%低下している。

家計部門の指標をみると、4月の実質可処分所得は前月比▲0.2%の減少となった。実質個人消費支出も同▲0.3%と減少している。なお、4月の貯蓄率は3.6%と依然として低い水準で推移している。

一方、住宅関連では、4月の着工件数が前期比6.2%増、許可件数も2.4%増と住宅部門に底入れの兆しがみえ始めている。

物価動向については、4月の消費者物価、生産者物価とも前月比0.2%上昇、変動の大きい食料・エネルギーを除いた消費者物価コア部分で見ても、同0.2%上昇となっており、物価は安定的に推移している。

金融面では、5月後半以降に発表された経済指標の中に景気が最悪期を脱したことを示唆する数値が増えてきていることから、当面、金融緩和が行われる可能性は小さくなったものとみられる。



<日本経済>

○景気の減速が明確化

日本経済は減速基調にある。経企庁・景気動向指数(一致)も、昨年11月以降50%ラインを推移しており、また生産指数も前月比の推移で見て横這い圏にある。

個人消費関連の指標を見ると、4月の大型小売店販売額は前年比5.2%増と堅調な伸びを示した。なお、5月の新車登録台数・乗用車(軽自動車含む)は前年比5.6%減とマイナス幅を拡大している。

設備投資動向については、通産省の産業構造審議会向け「平成3年度における主要業種の設備米国動向調査(3月末実施)によれば、'91年度の主要企業の設備投資計画は、9.2%増と、昨年9月時点の調査と比べ6.7%の上方修正となっている。ただ、「資金調達面の制約や利益の減少で、今後下方修正する可能性が大きい企業が全体の15.2%(昨年同時期は7.6%)を占めている点も考慮すれば、高めの数字とはいえ留保が必要であろう。

住宅関連の指標をみると、住宅着工戸数は金利上昇などの影響で、4月は6ヵ月連続マイナスの18.9%減となった。住宅着工戸数は今後も減少傾向で推移しよう。

なお、「前期比で見た増勢」の点では景気は確かに減速しているが、日銀短観・業況判断DIや製造業稼働率、有効求人倍率等の景気の「レベル」は依然高水準なこともあって、「景気の堅調感」は今のところ強い。

○タイトな労働需給

労働需給は依然逼迫している。4月の有効求人倍率(季調済)は1.46倍であり、景気の減速感が強まっているにもかかわらず、依然高倍率のまま推移している。

労働市場のタイト化を映じて、名目賃金指数(全産業、ボーナス等込み)も4月は前年比3.8%と高めの伸びを見せている。

○依然根強い賃金コスト面からの物価上昇圧力

4月の輸入物価は、前月比で4ヵ月連続の下落となった。また国内卸売物価と関連の深い日経商品価格指数も、昨年9月以降下落基調にある。このように輸入面、国内需給面からの物価上昇圧力はかなり低下してきている。

なお、労働コスト面からの物価上昇圧力は依然残るものの、コア部分で見た上昇率も国内卸売物価、消費者物価ともにピーク・アウトの兆しを見せている。

○通関出超幅は拡大

4月の通関統計は、出超幅が約60億ドル(季節調整後)と、このところ黒字が拡大傾向を示している。輸出数量指数の伸びが依然高い一方、輸入数量指数の伸びが景気減速・内需鈍化を映じて低下してきたことに加え、4月の輸入原油単価は1バレル17.5ドルまで低下してきたことが大きく寄与している。



<イギリス経済>

イギリスでは依然、景気後退が続いている。'91年1-3月期の実質GDP成長率は前期比▲0.6%(生産ベース、暫定値)と、昨年の7-9月期から3四半期連続の洛ち込みとなった。NISER(国民経済社会研究所)によると、イギリスのリセッションは他の先進工業国に比べ長期化し、今年の成長率は▲2.2%にまで落ち込む('90年の実積は0.7%)見通しである。

物価動向についてみると、消費者物価に相当する小売物価は、'91年4月は前年同月比で6.4%と1-3月期平均8.7%から大幅に低下した。これは、昨年4月に導入された人頭税(コミュニティー・チャージ)による物価押し上げ要因の剥落、金融緩和に伴う住宅ローン金利低下(イギリスの小売物価にはモーゲージ金利支払いが含まれる)によるものである。

貿易面をみると、輸出の伸び悩み、輸入の減少テンポのスローダウン等から貿易赤字の改善傾向にやや一服感がでできている。今年4月の貿易赤字8.4億ポンドと、1-3月期平均(9.9億ポンド)から小幅低下した。



<ドイツ経済>

旧西ドイツ地域(以下、西独)の'91年1-3月期の実質GNP成長率は前年同期比5.4%と前期(4.9%)に引き続き高い上昇率となった。しかし、5大研究所によると、今後は増税、世界景気の減速―等の影響から景気は減速に向かい、'91年の成長率は2.5%と、昨年(4.5%)を大きく下回る見通しである。

消費者物価に相当する生計費の上昇率(前年同月比)は昨年10月にピーク(3.3%)をつけた後、原油価格の下落に伴い鎮静化し、3月には2.5%にまで低下した。しかし、4月以降再び上昇傾向にあり、今後も(1)高率の賃上げ等による労働コストの上昇、(2)年初からの対ドルでのマルク安、(3)今年7月からの間接税増税、等の影響から潜在的なインフレ圧力が強まろう。

貿易面では、内需拡大に伴う輸入増加を主因とした貿易収支黒字の減少、湾岸戦争の支援金支払いによる移転収支赤字の増加、等から、経常収支(未季調値)は年初から赤字を続けている。

旧東ドイツ地域(以下、東独)では景気の悪化傾向が続いている。通貨統合以降、東独の需要が西側製品に集中した結果、東独の鉱工業生産は、統合前の水準からほぼ半減となっている。このため、雇用情勢も悪化が進み、5月の完全失業者数は84万人、失業率は9.5%となった。また、操業短縮対象の労働者は196万人に達している。旧東独国営企業の整理を進めているドイツ信託公社のブロイエル総裁は、「これまでに全国営企業の約20%に当たる2千社近くが売却され、現在、1日15社のペースで売却が進んでいる。」と述べる一方、雇用問題に関しては長期化するとの見解を示した。



<オーストラリア経済>

オーストラリア経済は、長期間の高金利政策の影響で、内需の悪化が続いている。本年1-3月期の実質GDP成長率(前期比)は、内需の寄与度が▲0.6%となった一方、外需の寄与度が0.7%となった結果、全体では0.1%となった。

国内需要は4四半期連続でマイナス成長となっている。その内訳をみると、民間消費が10-12月期の▲0.2%から0.3%へと穏やかなプラスに転じた。又、民間投資については、往宅投資が▲2.9%、建設投資が▲12.3%、構械設備投資が▲6.3%と、各部門が減少となった。

景気後退が続く中、雇用情勢の悪化が進んでいる。5月の失業率は9.4%と、4月の9.9%(昨年5月は6.5%)から低下したものの、その理由が労働力率の急落であり、5月の雇用者数は穏やかな減少となった。

物価についてみると、本年1-3月期の消費者物価上昇率はガソリン価格の低下を受け、前期比▲0.2%(前年同期比▲44.9%)と7年振りの下落となった。又、コア部分の上昇率は同0.7%に止まった。

4月の貿易収支(季節調整値)は3月の大編な改善に反動し、6.15億豪ドルの黒字からO.67億豪ドルの赤字へと悪化した。これを受け、同月の経常収支の赤字は4月の▲9.48億豪ドルから▲16.09億豪ドルへと拡大した。

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