1991年07月01日

ケベック州のナショナリズム:その背景と今後の行方

高橋 秀典

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■見出し

はじめに
1.ケベック州におけるナショナリズム:その歴史的背景
2.ミーチレーク合意の崩壊
3.ポストミーチレークの政治動向
4.ケベック問題の今後の行方

■はじめに

現在、ソビエト連邦内の共和国による自治権獲得に向けた運動、中東地域における少数民族による自立への動き等が見られる中で、民族問題が世界的に注目されている。ここカナダにおいてもその歴史は浅いながらも、ケベック州を中心とした仏系カナダ人によるナショナリズムの動きが見られる。その動きはこれまで殆ど流血に至ることもなく、政治的な解決手段に委ねられている為、必ずしも全世界的に注目されるといったものではない。ただカナダ国内では、ケベック州のナショナリズムの動きはカナダ連邦制度の根幹を揺るがすものとして、常に大きな問題として位置づけられている。

昨年6月、“ミーチレーク合意”と呼ばれる憲法問題で、ケベック州の特異性を憲法の中で明確にしようとする政治的な動きが活発化した。最終的に同合意の批准は実現せず、ケベック州をめぐる憲法問題は白紙に戻ったが、ケベック州におけるナショナリスムの問題はカナタの建国以来見られてきたものであり、今後ともカナダ政治の前面に出てこよう。当レポートでは、ケベック州に見られるナショナリスムの高まりについて、その歴史的背景ならびに現状を明らかにしつつ、今後の行方について触れることとする。

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