1990年10月01日

オプションのポートフォリオとポートフォリオのオプション

  三浦 良造

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■見出し

1.はじめに
2.ポートフォリオのオプションとオプションのポートフォリオ
3.プット・コール・パリティーなど

■はじめに

本稿では、まず株式ポートフォリオのオプション価格は、ポートフォリオを構成するそれぞれの株式に対するオプションの組合せ(ポートフォリオ)価格より低い(正確には高くない)ことを示す。ポートフォリオ構成に対応した権利行使価格を設定するところがテクニカルには重要である。理論的に重要な点はこの不等式が、証券価格変動を特定化しなくても成立することである。つぎにJamshidian (1989)によって示された債券ポートフォリオのオプション価格が、権利行使価格をある方法で設定するとき、各債券のオプションのポートフォリオ価格に等しいという命題をとりあげ、これも債券価格変動が、利子率の変動型を特定化しなくても成立することを指摘する。本稿で扱うオプションはすべてヨーロッパ型である。

現実の価格がどういう変動モデルによって近似されるかについては現在盛んに研究されている。ブラック・ショールズ(1973)が仮定した対数正規(確率)過程は規範的であるが、現実の株価データを説明するには、多くの修正を必要とする。従ってこの仮定のうえで導かれたブラック・ショールズのオプション価格式は、実務に用いられる際は、ボラティリティの調節などによって、いくらかの修正が加えられているはずである。このような修正は、今後も価格データを分析することによりいろいろな変動型モデルが考案され、それぞれに対応した形で試みられるであろう。

このような試みと並んで重要なことは、価格の変動型がどういう型のものであっても成立する命題、いいかえると変動型の特殊化に依存しないで(いわばノンパラメトリック)成立する命題を拾いあげていくことである。これらの命題は、オプション価格がもつ大まかな性質をよく表わしている。本稿では上にあげた2つの関係式に加えて、株式、債券それぞれについて金利が確率変動する場合のプット・コール・パリティーなども示しておく。

ここでポートフォリオ効果について一言ふれておこう。ポートフォリオ効果は、ポートフォリオの収益率の分散を用いることでよく明示的に説明されるが、本稿の命題では証券のポートフォリオに広い意味でのポートフォリオ効果が現われている。それは証券価格の同時分布と分布領域そのものに議論を依存させ、分散というバラツキの母数を介してはいない。債券の場合は(本稿の仮定では)確率変動の源が1つの金利であるため上と同様のポートフォリオ効果は現われない。複数の金利を扱うこと、そしてデュレーションの概念をもっと一般的に扱うことによって、債券ポートフォリオの性質が新たに得られるであろうが、それは今後の研究課題としておこう。

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