1990年07月01日

開発利益の還元(台湾の土地制度を中心に)

森 一憲

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■見出し

1.豊かな社会を目指して(開発利益還元の重要性)
2.台湾土地制度の概略
3.台湾における開発利益還元状況
4.まとめ

■introduction

日本は豊かな国になったといわれるが、住宅をはじめとする生活環境は必らずしも質の高いものではなく、快適な環境づくりに向けての基盤整備が求められている。また、高齢化社会の到来を目前に控えて、高齢化に対応した生活環境の基盤整備も、併せて、急ぐ必要がある。加えて、近時の国際世論は我国の公共投資拡大を要求しており、これらの要請に応えていくためにも、基盤整備を強力に推進しなければならない状況にある。

この基盤整備の推進にあたっては、開発利益の還元が重要になってくる。基盤整備には巨額の事業費を投入することになるが、その結果、土地の利便性・快適性が高まり、それを反映し地価が上昇することになる。問題は、この地価上昇分が土地所有者の不労所得になるところにある。この地価上昇分(開発利益)を回収し継続的に基盤整備事業に活用していかないと、用地費の高騰をみた現在、基盤整備は行き詰ってしまうことになる。

土地基本法においても、「社会資本の整備に関連する利益に応じた適切な負担」(14条)、「価値の増加に伴う利益に応じた適切な負担」(5条)、を求めること謳われており、今後、基盤整備をすすめる上で、開発利益の還元が必要になってくると思われる。しかしながら、開発利益還元に関する制度は、現在、十分機能しているとは言い難いのが実情である。そこで、本レポートでは、開発利益還元に関する外国事例(とりわけ台湾)を検討し、我国の制度を検討する際の参考となるべき事項を探ってみることにする。

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