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<要旨>
国内セメント業界は産構法によるグループ化、大幅な設備廃棄といった構造改革の進むなか、内需の順調な拡大、円高による輸入燃料コストの低下といった追い風も加わって、'89年3月期決算は、各社とも引き続き増収増益となった。
しかし、円高の加速による輸出入構造の変化と、需要部門でのセメント使用原単位の低下によって、稼働率が当初の計画を下回っており、典型的装置産業である同業界にとっては問題を抱えた状況下にある。
また、需要の約7割を占める生コンクリート業界が慢性的な過当競争体質にあって設備稼働率の上昇を目論んだ安値受注が常態化している。このことも、安価な輸入セメントの流入とあいまってセメント市況を軟化させる原因となっている。
このように、短期的には好調な内需増により収益率が上昇している一方、中長期的にみると同業界の経営環境には厳しいものがある。セメント業界の構造改善は、同業界内の一層の合理化努力と、生コン業界の体質改善を併行的に推進する必要があろう。
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小川 則道
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