1989年01月01日

情報化時代の建築動向 -貸電算ビル

土堤内 昭雄

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■見出し

1.貸電算ビル誕生の社会的背景
2.貸電算ビルの諸特性
3.貸電算ビルの事業化
4.今後の展開

■introduction

(1)産業構造の変化とオフィス需要

戦後大量生産の工業化社会から、1960年代の高度成長期を経て日本の第3次産業の就業人口は今や3400万人、全就業人口の60%近くを占めるまでになっている。又、東京に於いてはそれが70%にも達している。これはとりも直さずオフィス人口がそれだけ増加していることを示すと共に、オフィス需要の憎加を示すものである。

昭和60年の首都圏のオフィス就業人口は約640万人だが、昭和75年には約850万人に増加すると予想されている。それに伴うオフィス需要は、昭和60年で9,200haであったのが、昭和75年には約90%増の17,200haと予想されている。

次に東京で顕著である国際化に伴う外国金融機関や外資系企業によるオフィス需要がある。国土庁の試算ではこの国際化に伴うオフィス需要は今後15年間に約93haを見込んでいる。

一方オフィスはかつての工業化社会では単なる工場の間接部門であったが、今や情報化社会に於いては知的生産の場としての重要度が急速に高まっている。特にオフィスの一層の生産効率向上の手段としてインテリジェント化は注目を集めている。今オフィスは質・量共に大きなターニングポイントを迎えている。このニューオフィス化の動向については、別の機会に詳述するとして、ここでは単なる量的不足を考えると、土地高騰による賃料アップと相まって、企業が電算部門を移転し、都心の好立地にオフィス床を確保しようとするのは当然のことと考えられる。このようにして都心の好立地のオフィスから移転する電算部門を集約化した貸電算ビルが誕生するに至ったのである。

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